be動詞と一般動詞
英語の動詞にはいくつかの分類があります。
まず一番ざっくりとした分け方として、be動詞と一般動詞という分け方があります。
当たり前ですがbe動詞に分類される動詞は、be動詞のみです。
一般動詞はbe動詞以外の動詞全てを指します。
なぜ be動詞だけ他の動詞と区別しているのでしょうか?
もちろん、be動詞と一般動詞では根本的に使い方が異なるからというのが理由なのですが、それ以前にbe動詞以外の動詞と比べて be動詞だけ変化形が異常に多いからです。
一般動詞は、不規則動詞であっても 原形ー過去形ー過去分詞形 の3つの変化形しかありません。
go – went – gone
しかし、be動詞はどうでしょう?現在形でも、主語によって am, is, are とすでに3つの変化形があります。原形、過去形、過去分詞形まで含めると合計7個も変化形があるのです。
be – am, is, are – was, were – been
これは仲間外れにされてしまっても仕方がないですね…
動作動詞と状態動詞
次に大きな分類として、動作動詞と状態動詞に分かれます。
動作動詞は英語では action verb と呼ばれ、体の動きや繰り返される動作、つまりアクションを表す動詞のことです。以下のような動詞は、動作動詞です。
run「走る」, swim「泳ぐ」, play「~する、遊ぶ、(楽器を)弾く」, eat「~を食べる」, go「行く」, come「来る」 visit「~を訪問する」, do「~する」, speak「話す」, write「~を書く」など
状態動詞は英語では stative verb と呼ばれ、状態、知覚(感覚)、感情、心理を表します。
be動詞は状態動詞に分類されます。
動作動詞と状態動詞の違いは、日本語の感覚だと分かりにくいと感じる方もいるかもしれませんが、迷ったらその動詞が意味的に体が動くタイプの意味なのか(アクションなのか)そうではないのかで判断してください。
また、状態動詞は特別な場合でなければ、進行形(be動詞+~ing)にしないというルールもあるので、覚えておきましょう!
*以下のような意味で使う動詞は状態動詞です。
*別の意味で使う場合は、動作動詞に分類されることもあります。
状態:be動詞, have「~を持っている」, belong to「~に所属している」, resemble「~に似ている」, look「~に見える」など
知覚:see「~が見える」, hear「~が聞こえる」, smell「~のにおいがする」, taste「~の味がする」など
感情/心理:like「~を好む」, hate「~を嫌う」, hope「~を望む」, know「~を知っている」, think「~と思う」, want「~を欲する」など
状態動詞の中でも have は「~を持っている」という所有状態を表す意味で使う場合は状態動詞です。
私が教えている生徒さんの中には、初めこの説明をすると納得できない方がたまにいます。
そういう方には、I have a pen. 「私はペンを(一本)持っています。(所有しています。)」という日本人なら誰でも知っている英文を使って、次のようなたとえ話をするようにしています。
私:「では○○さん、I have a pen. はどうでしょう?この文では have を所有の意味で使っていますが、I have a pen. と言う人は腕をブンブン振り回したり、部屋を走り回ったりしながら I have a pen. と言いますか?」
生徒さん:「あ…。普通はしないですね。」
私:「そうですよね。体が動くようなアクションを表しているわけではないので、所有状態を表す have は状態動詞なんです。」
生徒さん:「なるほど!」
だいたいこれで納得してくれるはずです!
この話をして納得できない方は、おそらく所有状態を表す have「~持っている」と動作としての hold「~を握っている、つかんでいる」を混同してしまっていると思うので、違いを説明してあげると解決するかもしれません。
I have a pen. 「私はペンを持っています。」=「私は一本のペンを所有しています。」←状態
I am holding a pen. 「私はペンを持っています。」=「私は一本のペンを握っています。」←動作
ただ、have は「~を食べる」など動作を表す意味で使う場合は、動作動詞になるので注意が必要です。
自動詞と他動詞
次に、自動詞と他動詞という分類があります。
まずは他動詞から説明していきます。
他動詞は目的語を取る動詞です。
目的語は動詞の力が加わる対象の事で、品詞は名詞になります。
動詞の力が加わるターゲット、標的と言ってもいいでしょう。
日本語の「~が」、「~を」、「~に」にあたります。
以下の例文では、動詞の punch 「~を殴る」の力が、目的語(名詞)の him に加わって「彼を殴る」という意味になっていますね。
I punched him. 「私は彼を殴った。」
目的語は、他動詞の直後に置くのが普通です。
以下の例文では、他動詞の ate(eatの過去形)「~を食べた」の直後に、目的語の名詞のカタマリan apple 「一つのリンゴ」が置かれていますね。
I ate an apple. 「私はリンゴを一つ食べました。」
つまり、動詞+目的語(名詞のカタマリ)となっていたら、その動詞は他動詞です。
次に、自動詞について説明していきます。
自動詞は目的語を取らない動詞です。
自動詞は、単なる動作で動詞一つで動作が完結するタイプの動詞です。
以下の例文では、fell(fallの過去形)「転んだ」という動詞一語で動作が完結しています。
I fell. 「私は転んだ。」
他動詞の様に、日本語の「~が」、「~を」、「~に」にあたる目的語は付けません。
自動詞の後に名詞を置きたい場合には、前置詞を付ける必要があります。
以下の例文では、動詞の go 「行く」だけで動作としては完結していますが、go の方向を示すために、to school 「学校へ」という前置詞+名詞のカタマリが置かれています。
前置詞+名詞のカタマリは、動詞の go を修飾しているので品詞は副詞になります。
I go to school. 「私は学校へ行きます。」
自動詞と他動詞の見分け方
「自動詞は目的語を取らない動詞、他動詞は目的語を取る動詞ですが、見分け方はあるのでしょうか?」という質問をよく受けます。
万能ではないですが、あります!
一番正確なのはもちろん辞書で調べることですが…
ちなみに辞書には、自動詞は「自」または vi (intransitive verb)、他動詞は「他」または vt (transitive verb)と表記されています。
自動詞か他動詞は分からなかったら、その動詞で文を終えた場合、相手に What? 「何が?/何を?/何に?」と突っ込まれるタイプの動詞かどうかを確認しましょう。
When? Where? How? などの他の疑問詞ではなく、必ずWhat?で突っ込まれるかどうかで判断してください。理由は後ほど解説いたします。
What? 「何が?/何を?/何に?」と突っ込まれるタイプの動詞は他動詞です。
そうでないものは自動詞です。
例えば、eat 「食べる」が自動詞か他動詞か分からなかった場合、eat で終わる文を作ってみましょう。
I eat. 「私は食べます。」
日本語の「私は食べます。」だけを見ても「何を食べたの?」と突っ込みたくなりませんか?
思わず、What do you eat? 「何を食べるんですか?」と突っ込みたくなるはずです。
What?で突っ込みたくなるという事は、eat は他動詞です。
他動詞は、動詞の力が加わる対象=目的語がなければ動作を完結できないので、I eat. のような他動詞で終わる文を見た人は、「目的語がない!一体何をこの人は食べるんだ?eat の後に来る名詞は何なんだ?」と気になってしまうのです。
小説の最後の一行だけが消されてしまっていて「いったい何が起こったんだ…?」と気になってしまうのと同じですね。
それでは、なぜWhen? Where? How? などの他の疑問詞ではなく、What?で突っ込まれるものが他動詞だと言えるのでしょうか?
理由は簡単です。目的語は名詞で、What?に対する答えは名詞だからです。
What?で突っ込まれるという事は、名詞の情報が欠けている=他動詞の後に来るべき目的語が欠けているという事になります。
When? Where? How? などの疑問詞に対する答えは副詞になります。
以下の例文を見てください。
A: What did you eat? 「あなたは何を食べましたか?」
B: I ate an apple. 「私はリンゴを一つ食べました。」
リンゴ(名詞)が ate の目的語で What に対する答えになっている。
A: When did you go to school? 「あなたはいつ学校に行きましたか?」
B: I went to school in the morning. 「私は午前中に学校に行きました。」
in the morning は前置詞+名詞なので副詞のカタマリで、動詞の went を修飾していて、「いつ行ったのか?」に対する答えになっている。
A: Where did you go? 「あなたはどこへ行きましたか?」
B: I went to school. 「私は学校へ行きました。」
to school は前置詞+名詞なので副詞のカタマリで、動詞の went を修飾していて、「どこへ行ったのか?」に対する答えになっている。
A: How did you go to school? 「あなたはどのように学校に行きましたか?」
B: I went to school by bus. 「私はバスで学校に行きました。」
by bus は前置詞+名詞なので副詞のカタマリで、動詞の went を修飾していて、「どのように行ったのか?」に対する答えになっている。
このように、When? Where? How? などの疑問詞に対する答えは動詞を修飾する副詞句になるので、目的語(名詞)が動詞に必要なのかどうか判別するのには不向きなのです。
自動詞か他動詞かを判別したいときには、What?で突っ込まれるタイプなら目的語(名詞)が必要なので他動詞、そうでなければ自動詞と覚えてください。
基本的には、この方法で大体の動詞を判別できますが、自動詞としても他動詞としても使う動詞も多いので注意が必要です。
以下の例文を見てみましょう。
He didn’t move. 「彼は動かなかった。」←目的語がないので自動詞
He moved the chair. 「彼はその椅子を動かした。」←目的語 the chair があるので他動詞
まとめ
英語の動詞の分類は大きく分けると、be動詞と一般動詞、動作動詞と状態動詞、自動詞と他動詞の3つがあります。
それぞれの分類とその特徴を理解することで、正しく動詞を使えるようになりましょう!