まぎらわしい自動詞と他動詞
自動詞と他動詞の基本的な見分け方については、以前こちらの記事で解説しましたが、中には知識として知っていないと自動詞なのか他動詞なのか分かりにくい動詞があります。
日本語の意味を基準に判断しようとすると間違えやすいものばかりなので、今回紹介する内容は暗記事項です。
大学受験では特に狙われやすいところになるので、特に受験生の方は必ず暗記しておきましょう!
自動詞と他動詞で形の異なる動詞
自動詞の使い方をする場合と他動詞の使い方をする場合で、スペルが異なる動詞があります。
自動詞と他動詞で形の異なる動詞
(自)lie「横たわる」 lie-lay-lain 進行形 lying
(他)lay「~を横たえる」 lay-laid-laid 進行形 laying
(自)rise「上がる」 rise-rose-risen(不規則動詞)
(他)raise 「~を上げる」 raise-raised-raised(規則動詞)
例文
He was lying on the bed. 「彼はベッドに横になっていた。」
She laid a baby in its crib. 「彼女は赤ん坊をベビーベッドに寝かせた。」
The sun rises in the east. 「太陽は東から昇る。」
Raise your hand if you have a question. 「質問があれば手を上げなさい。」
この中では特に、lie は要注意です。
lie には全く同じスペルで、「うそを言う」という自動詞の使い方があります。
lie to ~ 「~にうそを言う」
lie about ~ 「~についてうそを言う」
名詞の「うそ、虚言」も動詞と同じスペルで lie です。
ややこしいですね💦
例文
You’re lying. 「あなたはうそをついていますね。」
I would never lie to you. 「私はあなたには決してうそを言ったりしません。」
He lied about buying a house. 「家を買うことについて、彼はうそを言った。」
Don’t tell me a lie. 「私にうそをついてはいけない。」
自動詞と誤りやすい他動詞
日本語の意味を見て判断すると、前置詞を付けて自動詞として使いたくなってしまいがちな動詞を紹介します。他動詞なので前置詞を付けずに動詞の直後に目的語を置きます。
自動詞と誤りやすい他動詞:前置詞不要!動詞の直後にO
(他)discuss「~について議論する」discuss about
(他)resemble「~に似ている」resemble to
(他)reach「~に着く」reach to
(他)marry「~と結婚する」marry with
(他)enter「~に入る」enter into
(他)approach「~に近づく」approach to
特に、discuss は「~について」が日本語の意味に含まれているので、前置詞のabout をつい付けたくなってしまいますが、discuss about の様に使うことはありません。
例文
We discussed the problem with them. 「我々は彼らとその問題について議論した。」
She resembles her mother in appearance but not in character. 「彼女は外見が母親と似ているが、性格は異なる。」
We reached the hotel at midnight. 「私たちは真夜中にホテルに着いた。」
Will you marry me? 「私と結婚してくれませんか?」
I entered the room quietly. 「私は静かにその部屋に入った。」
The plane is approaching New York. 「飛行機はニューヨークに接近している。」
reach, enter, approach の3つは自動詞の使い方もありますが、他動詞とは意味が異なります。それぞれ代表的なものをのせておきます。
自動詞として使う reach
(自)reach (up/down/out) to, into, toward「(物事が空間的、時間的に)(~に)達する、及ぶ、届く、広がる」
The forest reaches down to the lake. 「その森は(下って)湖まで広がっている。」
(自)reach (out) for, after 「(人が)(~を求めて)手を伸ばす、(~を)取ろうとする」
He reached out for the rope. 「彼はロープをつかもうと手を伸ばした。」
自動詞として使うenter
(自)enter at, by, through「(から)入る、入り込む」
Enter at (by, through) the front door. 「玄関から入ってください。」
(自)enter into (イギリス英語では for ) 「(競技などに)参加の申し込みをする、登録する」
I entered into the competition. 「私はその競技会に参加を申し込んだ。」
自動詞として使う approach
(自)approach 「(人、物、時などが)近づく、接近する」
A man approached from behind and attacked him. 「男が背後から近づき、彼を襲った。」
また、marry は使い方に注意が必要なので、詳しくはこちらの記事を参照してください。
他動詞と誤りやすい自動詞
次に、他動詞と誤りやすい自動詞を紹介します。自動詞なので、名詞を後ろに置く場合は 自動詞+前置詞 の様に、前置詞を置く必要があります。
他動詞と誤りやすい自動詞:前置詞必要!
(自)agree with「~に同意する」⇔ disagree with
(自)arrive at~ / get to~「~に着く」
(自)graduate from~「~を卒業する」
(自)apologize to 人 for~「人に~のことで謝る」
(自)belong to ~「~に属している」
(自)object to~「~に反対する」
特に、graduate from~「~を卒業する」は他動詞の日本語訳に多く見られる「~を」があるので、from をつけ忘れてしまう人が非常に多いので要注意です!
例文
I completely agree with him. 「私は彼に完全に同意します。」
We will soon be arriving at Osaka. 「私たちはまもなく大阪に到着します。」
She graduated from Cambridge with a degree in Law. 「彼女は法律学の学位を得て大学を卒業した。」
I must apologize to him for the delay. 「私は彼に遅刻したことについて謝らなければならない。」
I belong to the music club. 「私は音楽部に所属しています。」
I object to his idea. 「私は彼の考えに反対です。」
まとめ
今回紹介した動詞は、どれも自動詞なのか他動詞なのか判断しずらいとされているものです。
特に discuss は about を付けて使ってしまっている方が多いので、正しい形をしっかりと暗記しておくことをお勧めします。