【英文法】品詞とその役割について

品詞=単語の役割

英語の単語は、その役割によって10種類の品詞に分類できます。

名詞、冠詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞、助動詞、前置詞、接続詞、間投詞の10種類です。

この10種類の品詞それぞれの役割を知っておくことは非常に重要です。

なぜなら、英語は日本語と違って、文中での単語の位置や順番によって意味が決まる言語だからです。
そして、その肝心な単語の位置や順番は品詞と文型によって決まります。

例えば、日本語で「私はあなたを愛しています。」という文と同じ意味になるように、語順を入れ替えた文を作ってみると、以下のような文ができると思います。

・あなたを私は愛しています。

・愛しています。私はあなたを。

・愛しています。あなたをわたしは。

元の文と比較しても、日本語として文法的にも意味的にも問題ない文を作ることができました。
日本語は英語と違い、単語の位置や順番だけが文全体の意味を決めていない言語だという事が分かりますね。

これと同じことを英語でやってみるとどうでしょうか?
「私はあなたを愛しています。」は英語では、I love you. なので、上の例の様に並べ替えると…

・You I love.

・Love. I you.

・Love. You I.

どうでしょうか?
これでは絶対に伝わりませんね…

単語は元の文と変わっていないので、日本語の感覚だと伝わるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、伝わりません。
カナダ人の友人に「この3つの文= I love you. と同じ意味になるか?」と聞いたところ、「無理だし、この3つの文のどれかで愛の告白をされたとしたら、並べ替え問題でも出されているのかと思ってイライラする。」とのことでした。
なぜイライラするのかと尋ねたところ、「単語の順番がめちゃくちゃで意味不明だから。」と答えてくれました。
このことから、英語は日本語と違い、単語の位置や順番が文全体の意味を決めている言語だという事が分かります。

「私はあなたを愛しています。」が英語で、I love you. になる理由には、まず文型というルールが関わっています。

「私はあなたを愛しています。」は、「主語は~を…します。」という文の型を使っています。

「主語は~を…します。」という文の型=文型は英語では、SVO (第3文型)という型に当てはまります。SVO それぞれのアルファベットは以下の役割として働きます。

S=subject 主語

V=verb 動詞

O=object 目的語

そして、以下の様に、SVO それぞれになれる品詞は決まっています。

S=subject 主語:名詞、代名詞

V=verb 動詞:動詞

O=object 目的語:名詞、代名詞

つまり、品詞を理解していないと文型を理解することができず、伝わりづらい順番で単語を並べてしまい、聞き手を混乱させてしまうのです。

ポイント
・英語は語順が命!
・英語の語順を決めているのは文型。
・文型を正しく理解するためには品詞の知識が不可欠。

前置きが長くなりましたが、それぞれの品詞の役割について確認していきましょう!

名詞

名詞の役割:人、物、物事の名を表す役割。S(主語)、O(目的語)、C (補語)になる。

名詞は簡単に言い表すと、「モノの名前」です。
John, Emily, Takeshi などの人名、box, computer, house などの物の名前も全て名詞に分類されます。

英語の名詞には、「数えられる名詞=可算名詞」と「数えられない名詞=不可算名詞」という分類があり、可算名詞には複数形があります。

可算名詞、不可算名詞に関してはこちらの記事を参照してください。

冠詞

冠詞の役割:名詞の前に置かれ、その名詞が不特定のものか、特定のものかを示す役割。冠詞+名詞=名詞句として働き S(主語)、O(目的語)、C (補語)になる。

英語の冠詞は、定冠詞の the と不定冠詞の a/an の2種類です。(単語としては、the, a, an の3単語です。)

不定冠詞の a/an は単数形の名詞の前にしか置けないので、不可算名詞の前や複数形の名詞の前に置くことはできません。

特定はせず、「世界中にいる教師の中のとりあえず一人の教師」という意味なら a teacher、「その教師」の様に、特定の教師を指したいなら the teacher になります。

冠詞は名詞の前に置いて、冠詞+名詞という形で使います。
冠詞+名詞=名詞*句(文ではない名詞のカタマリ)として文中で働き、名詞のカタマリなので S(主語)、O(目的語)、C (補語)になります。*句については、こちらの記事を参照してください。

代名詞

代名詞の役割:名詞の代わりをする役割。名詞の仲間なので、S(主語)、O(目的語)、C (補語)になる。冠詞や修飾語句を付けることはできない。

代名詞は読んで字のごとく、名詞の代わりをする品詞です。
細かく分類すると、人称代名詞、指示代名詞、不定代名詞、疑問代名詞、関係代名詞と呼ばれるものがあります。
英語は単語の繰り返しを嫌う言語なので、前の文で出てきた名詞は2回目からは適切な代名詞に変えて使うのが一般的です。

John is a teacher. 「ジョンは教師です。」

He is very smart. 「彼はとても頭が良いです。」

John は男性で、文中で主語として働いているので、2文目では男性でなおかつ主語の役割を表す代名詞の He が使われています。

He は人称代名詞に分類されます。
人称代名詞は、人称、性別、数の区別がある代名詞です。
「人称、性別、数の区別がある代名詞」とはどういう事かというと、人称、性別、数によって、単語の形が変化するという事です。人称代名詞の変化形については、この記事を参照してください。

人称というのは、簡単に説明すると「誰目線なのか?」という事です。
一人称は自分目線。二人称は相手目線。三人称はそれ以外といった感じです。
FPSというゲーム用語がありますが、FPSは First Person Shooter の頭文字をとって作られた言葉で、一人称視点(自分目線)でゲーム内のキャラクターを動かして銃撃戦などをするゲームの事ですね。

形容詞

形容詞の役割:人、物、物事などの性質、状態、数量などを表す。名詞を修飾したり、C (補語)になる。

形容詞は名詞を修飾(詳しく説明)する役割の品詞です。

He is a teacher. 「彼は教師です。」

この文では、どんな先生なのかは詳しく分かりませんが、kind 「優しい、親切な」という形容詞を付ければ「優しい教師」という意味にできます。

He is a kind teacher. 「彼は優しい教師です。」

中学校の国語の授業では、「語尾を伸ばして “~い” という音なら形容詞」と習った人もいると思います。
英単語の形容詞も、日本語の意味の語尾を伸ばして “~い” となったらだいたい形容詞なので、見分けるときのポイントとして覚えておくと良いでしょう。

beautiful 「美しい」、smart 「頭が良い」、heavy 「重い」などは語尾が “~い” ですね!

形容詞は名詞を修飾するので、よく(冠詞)+形容詞+名詞=名詞句(名詞のカタマリ)の様に使ってC (補語)として文中で使われます。

副詞

副詞の役割:動詞、形容詞、他の副詞、文全体を修飾(詳しく説明)する役割。様態、場所、時、頻度、程度などを表す。強調や飾りの言葉として働くので、文型に関わる要素(S V O C)には分類されず、修飾語(句)を表すM(modifier)という記号で表す。

副詞は英語の品詞の中で最もあいまいでまとまりがない品詞です。
英語の品詞の中で、他の品詞に分類できない修飾語を寄せ集めたのが副詞なのです。

副詞は「動詞、形容詞、他の副詞、文全体を修飾」とあり、名詞以外の要素ほとんどすべてを修飾できます。
形容詞は名詞しか修飾できませんが、副詞が修飾できるものがこれだけたくさんあるのは、他の品詞に分類できない寄せ集めの修飾語だからなのです。

gently 「優しく」、there 「そこに、そこで、そこへ」、 usually 「いつもは」、 tomorrow 「明日、明日は」、 very 「とても」などが副詞です。

副詞は語尾が -ly のものが多いですが、語尾が -ly のものは全て副詞というわけではないので注意が必要です。語尾が -ly でも、friendly 「仲の良い、人なつこい、友好的な」などの様に形容詞に分類されるものもあります。

これには以下のような法則があります。

形容詞+ -ly =副詞

名詞+ -ly =形容詞

friend は名詞で、名詞に -ly が付いたので、friendly は形容詞です。
gentle は形容詞で「優しい」という意味で、それに -ly が付いたので副詞になります。

最終的な判断は、何を修飾しているのかで判断して下さい。
名詞を修飾しているならそれは形容詞、名詞以外を修飾しているのなら副詞ですね!

動詞

動詞の役割:人、物、物事の状態や動作を表す役割。V(述語動詞)になる。自動詞と他動詞の使い方があり、主語の人称や、時制などによって形が変化する。

動詞の詳しい分類に関しては、こちらの記事を参照してください。
合わせて自動詞と他動詞に関するこちらの記事もどうぞ。

中学校の国語の授業では、「語尾を伸ばして “~う” という音なら動詞」と習った人もいると思います。

run 「走る」、eat 「食べる」、make 「作る」などは、語尾を伸ばすと “~う” という音になりますね!

助動詞

助動詞の役割:動詞と組み合わせて用いて、話し手の判断や気持ちなどを表す役割。動詞と一緒に使って V(述語動詞)になる。

助動詞は読んで字のごとく、動詞を助ける品詞です。
助動詞を使うと、動詞単体では表せない細かいニュアンスなどを動詞に付け加えることができます。

I swim every day. 「私は毎日泳ぎます。」

この文では、動詞の swim には「泳ぐ」という意味しかありませんが、助動詞の can を付ければ「泳ぐことができる」という意味を付け加えることができます。

I can swim every day. 「私は毎日泳ぐことができます。」

can, may, must, will などの助動詞は細かく分類すると法助動詞と呼ばれ、「助動詞+動詞の原形」の形で用いるという共通のルールがあります。

進行形や受動態を作る be動詞、完了形を作る have 、疑問文や否定文を作る場合用いられる do/does/did なども助動詞の仲間です。

前置詞

前置詞の役割:名詞や代名詞の前に置き、形容詞や副詞の役割をする。

at, in, on, by, for など前置詞に分類されモノの位置関係を表す役割や、名詞/代名詞と他の単語とのつながりや関係性を表す役割をします。

日本語の「~が、~の、~に、~を」などの助詞に近い働きをしますが、それ以外にも様々な意味を表せるのが前置詞の特徴です。

前置詞+名詞(代名詞)=前置詞句(前置詞のカタマリ)として働き、形容詞や副詞と同じ役割をします。
また、前置詞の後に来る名詞(代名詞)は、前置詞の目的語と呼ばれ、特に人称代名詞を前置詞の後に置く場合は、必ず目的格という目的語の役割をする形にしなければならないという決まりがあります。

例えば、「彼と一緒に」という意味を表したい場合は、前置詞の with に目的格の him を付けて以下の様に使います。

I went to the restaurant with him. 「私は彼とそのレストランに行きました。」

with he などの様に、前置詞の with の後に、主語の役割をする形(主格)の he を置くことはできません。

接続詞

接続詞の役割:「単語と単語」、「句と句」、「節と節(文と文)」などをつなぐ役割をする。

and, but, or などの接続詞は「等位接続詞」と呼ばれ、2つの対等な要素をつなぐことができます。

My mother and I went shopping together. 「私の母と私は一緒に買い物に行きました。」

My mother and I で「単語と単語」という対等な要素をつないでいますね。

because, when, that などの接続詞は、「従属接続詞」と呼ばれ、一方がもう一方に寄り掛かる(従属する)形でつなぐ接続詞です。

「一方がもう一方に寄り掛かる(従属する)形でつなぐ接続詞」を簡単に説明すると、一方だけでは伝えたい意味が伝わらないという意味です。以下の例を見てみましょう。

The problem is that you never submit your homework. 「問題は、あなたが一度も宿題を提出しないという事です。」

この文では、接続詞の that が使われていて、「~は(つまり)…ということだ」という意味で、The problem is と you never submit your homework の2つをつないでいます。

The problem is だけだと何が問題なのかが伝わらず、you never submit your homework の部分だけを見ても、「宿題を一度も提出しない」ことについて話者がどう思っているのかが伝わりません。

従属接続詞の that を使って2つをつないで初めて、話者の伝えたい意味が伝わるようになっていますね!

間投詞

間投詞の役割:間投詞は話し手の感情を表す役割をします。

ah 「あぁ」, oh 「おぉ、おや」, ouch 「あぅっ、痛いっ、まずい、など」, well 「ええと」など、感情をあらわす意味の品詞です。

これらは、発音の強弱や言い方で意味が左右されることがあるので、映画やドラマなどで実際の英語のやり取りを聞きながら身に着けていくのが良いでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?品詞の分類ができるようになると文型への理解が一気に深まるので、まずは、それぞれの役割から覚えていきましょう!

慣れてくると単語の意味からだいたいの品詞を当てることができるようになると思います。
品詞=単語の役割なので、単語を覚える際に一緒に品詞も覚えていくことで、自然に文中での使い方も覚えられるのでおすすめです!

ここで一つ、品詞を覚える際の注意点があります。
英語は1つの単語を2つ以上の品詞として使うことがよくあります。

例えば、fast は形容詞の使い方と副詞の使い方があります。

He is fast at running. 「彼は走るのが速い。」 fast は名詞の He を修飾しているので形容詞。

He runs fast. 「彼は速く走る。」fastは動詞の runs を修飾しているので副詞。

このように、あくまで文中の役割で判断するのが一番良いですね!


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