不定詞の副詞的用法
不定詞は準動詞の仲間で、大きく分けて名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法の3種類の用法があります。
ちなみになぜ不定詞という名前なのかと言うと、不定詞は文中に入らないと名詞、形容詞、副詞の内どの使い方になるか確定しないからです。
つまり、文中に入らないと品詞が定まらないので、不定詞と呼ばれます。
不定詞はどの用法でも共通で、to + 動詞の原形の形を使います。
今回は、副詞的用法について解説していきます。
不定詞の副詞的用法は、動詞を副詞扱いで使うことができます。
副詞扱いなので、名詞以外の語句や文を修飾する使い方をします。
特に動詞や形容詞を修飾する使い方が多いです。
不定詞の副詞的用法には、以下のように6種類も使い方があります。
①目的「~するために」
②結果「~した結果…する」
③感情の原因「~して」
④判断の根拠「~するとは、~するなんて」
⑤形容詞の限定「~するのに(が)形容詞だ」
⑥独立不定詞(慣用表現):文を修飾
今回は、②の結果を表す用法について解説していきます。
6種類ある副詞的用法の中で、結果を表す用法は最も見分けにくいものだと思います。
特に、目的「~するために」と誤訳してしまう人が多いです。
実際に私も英語を教えてきた中で、結果の意味なのに目的の意味で取ってしまう人を数え切れないほど見てきました。
そもそも、副詞的用法には目的の意味しかないと思っている人がかなり多いです💦
目的「~するために」との見分け方も合わせて確認していきましょう!
不定詞の副詞的用法 結果
結果を表す用法は、「~した結果…する」という意味です。
目的を表す用法と違って、前から順番に訳していきます。
「~」には述語動詞( V )の意味が入り、「…」には不定詞( *to V’ )の意味が入ります。
*不定詞などの準動詞は、述語動詞と区別するために ‘ を付けて、V’ と表記しています。詳しくはこちらの記事をどうぞ!
「V した結果 to V’ する」と覚えても良いですね。
結果を表す用法は、副詞として述語動詞を修飾します。
以下のような文の不定詞は結果を表す意味です。
②結果「~した結果…する」前から順番に訳す。
The girl grew up to be a popular writer. 「その女の子は、成長して人気作家となった。」
以下のような自分の意志でコントロールしづらい動詞が、結果を表す用法に使われがちです。
・live 「生きる」← (不謹慎ですが)不慮の事故などで自分がいつ死んでしまうか完全に自分の意志でコントロールできない。
・grow up 「成長する」← 成長したいサイズを自分の意志でコントロールできない。(できたら身長や体重、体型の悩みなんてなくなりますね!)
・wake up / awake 「目が覚める」← 睡眠中に「起きるぞ!」という意志をもって起きられる人はいないでしょう。前日に目覚ましを自分の意志でかけたとしても、それは目覚ましの音で目が覚めているだけですね。
こういった自分の意志でコントロールしづらい意味の動詞は目的と結びつきにくいです。
目的(「~するために」)で訳したらおかしな意味になってしまいます。
仮に、この文に使われている不定詞が目的を表す意味(「~するために」)だと思ってしまったとしましょう。
そうすると、「その女の子は人気作家になるために成長した。」という訳になってしまいます。
この訳を読んで、「どこがおかしいの?」と思った方がいるかも知れませんが、よく考えると意味不明です。
grow up は「成長する」という意味で、Cambridge Dictionary で英語の定義を確認すると以下のような定義になっていました。
・to gradually become an adult 「だんだんと大人になること」
・to behave like an adult 「大人のように振る舞うこと」
・to change from being a child to an adult 「子どもから大人に変化すること」
つまり、目的(「~するために」)で解釈すると、「人気作家になるために(身体的 / 精神的に)大人になった。」というような意味になってしまうのです。
大人になれば人気作家になれるわけではないので、この解釈は間違いです。
身体的 / 精神的に成熟してその結果人気作家になったという意味でないとおかしいですね。
「成長する」という意味を拡大解釈して、「人気作家になるために努力をする」という意味だと思えばおかしな文ではないと言う人もいるかも知れませんが、それは出来上がった日本語訳の日本語の解釈を無理やり広げているだけで実際の英語の意味を表していません。
これは、伝言ゲームで最後の回答者の答えが最初のお題と全く違う言葉になってしまう現象と少し似ています。
そもそも、grow up には「努力をする」という意味はないです。
先ほど確認した、Cambridge Dictionary の定義の中にもそんな意味はありませんでしたね。
「人気作家になるために努力をした。」という意味の文にしたければば、以下のような文になるでしょう。
The girl worked hard to become a popular writer. 「その女の子は人気作家になるために努力をした。」
だから、この文では、to become a popular writer を grow up の目的を表す意味として解釈することはできないのです。
このように日本語の持つ曖昧さが学習の妨げになってしまうことがよくあります。
母国語が日本語であっても、日本語の解釈が曖昧な人は驚くほど多いです。
そういった人に対して、「その女の子は人気作家になるために成長した。」のおかしさを説明するのはかなり骨が折れます。
こちらがこれまで教えてきた人には通じてきた説明をしたとしても、そういった人には理解してもらえないことがあるからです。
そういった場合は、次の項で解説する定型文を暗記してもらうしかないです。
英語を日本語を使わずに英語だけで勉強しようとする学習方法を使えば、日本語の持つ曖昧さによる混乱は避けられますが、英語を英語だけで学習できるようになるにはそもそも英語がある程度分かってからでないと厳しいですね💦
(単語の勉強だけでも、先程確認した Cambridge Dictionary の英語の定義を英語で理解できないと厳しいです。)
結果を表す用法は目的「~するために」で訳すと、おかしい日本語訳になってしまいます。
慣れないうちは、「おかしさ」に気付けないこともあると思います。
まずは、live, grow up, wake up / awake などの自分の意志でコントロールしづらい意味の動詞の後に来ている不定詞は、結果「~した結果…する」の意味になりやすいということを覚えておきましょう!
結果を表す用法の定型文
結果を表す用法は以下のような定型文の形になることが多いです。
・S grow up to be~ 「成長して~になる」
・S + V, only to V’ 「Sは、Vして結局V’する」
・S + V, never to V’ 「Sは、Vして二度とはV’し ない」
・S + wake up/awake to find …. 「Sは、目を覚まして…であることに気がつく」
・S+ live to V’「Sは、Vするまで生きる」
一つ一つ例文とともに確認していきましょう。
・S grow up to be~ 「成長して~になる」
The girl grew up to be a popular writer. 「その女の子は、成長して人気作家となった。」
先ほど確認した例文で使われていた形ですね。
be の代わりに become を使っても同じ意味になります。
・S + V, only to V’ 「Sは、Vして結局V’する」
He tried to see her, only to fail. 「彼は、彼女に会おうとしたが、結局出来なかった。」
この使い方は、only の前に , (コンマ)を入れることが多いです。(省略される場合もあります。)
only to 不定詞の形は、「~するためだけに」という意味で以下の文のように目的を表す意味になることもあるので注意が必要です。
He bought a huge house only to please his girlfriend. 「彼はガールフレンドを喜ばせるためだけに大きな家を買った。」
・S + V, never to V’ 「Sは、Vして二度とV’しない」
She left home, never to see them again. 「彼女は、家を出て彼らとは二度と会わなかった。」
この使い方は、never の前に , (コンマ)を入れることが多いです。(省略される場合もあります。)
・S + wake up/awake to find …. 「Sは、目を覚まして…であることに気がつく」
I woke up to find she was gone. 「私は、目を覚ますと彼女が行ってしまったのに気がついた。」
・S+ live to V’「Sは、Vするまで生きる」
He didn’t live to see the bridge completed. 「彼は、その橋が完成するのを見るまでは生きなかった。」
only to 不定詞以外は、定型文になっていたら絶対に結果を表す用法です。
定型文の形を暗記しておけば、目的「~するために」と迷うことはないですね!
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まとめ
今回は、不定詞の副詞的用法の結果について解説しました。
副詞的用法は全部で6種類の使い方があり、見分けるのが他の用法よりも大変です💦
結果を表す用法は目的を表す用法と区別しにくい用法です。
以下のポイントに気をつけて、訳し間違えないように気をつけましょう!
・live, grow up, wake up / awake などの自分の意志でコントロールしづらい意味の動詞の後に来ている不定詞。
・定型文。
副詞的用法の目的以外の使い方については、以下のそれぞれの記事で確認してみてください!
①目的「~するために」
②結果「~した結果…する」(今回の記事)
③感情の原因「~して」
④判断の根拠「~するとは、~するなんて」
⑤形容詞の限定「~するのに(が)形容詞だ」
⑥独立不定詞(慣用表現):文を修飾
覚えることは多いですが、頑張っていきましょう!